東京マラソン2017 完走レポート 初心者ランナーからの改善要望

東京マラソン2017は晴天の中盛り上がりを見せました。今年のポイントは何といっても新コースです。
フィニッシュ地点はビッグサイトから東京駅前の行幸通りに。スタート直後に下ってからはほとんどアップダウンがない、ランナーにとって負担の少ないコースへと変更されました。

今回で東京マラソン出場3回目の筆者が、新旧コースの違いを含め、データや肌で感じた事を元に総括します。ちなみに筆者はフルマラソン自体も3回目の初心者ランナーです。

新旧コース比較

具体的にどのように変わってどういう影響があったのでしょうか。
まずは、旧コースと新コースについて確認しましょう。

新コース

旧コース

一番の違いは、終盤からフィニッシュにかけて。2016年までは、終盤のきつい時に佃大橋をはじめとしたアップダウンを通ってからフィニッシュ地点であるビッグサイトへと向かいました。この終盤はアップダウンだけでなく、時に海から来る向かい風がランナーを苦しめました。

また、佃大橋などランナー以外入ることができない区間があります。つまり応援する人がいなくなるのです。きつい時に奮い立たせてくれる応援がなくなるのは少し寂しいものです。疲れが重たく体にのしかかってきます。

それに対して今回のコースは、スタート直後に少し下りがあってからはほとんどアップダウンがないままフィニッシュ地点へ向かいます。

また、スタートしてからフィニッシュするまで、常に沿道からの人の応援があり、終盤のきつい時に受ける声援には、筆者も毎回元気をもらっています。

フィニッシュ直前の丸の内仲通りの雰囲気には感動すら覚えたランナーも多数いたのではないでしょうか。
幅10メートルも無いほどの石畳の直線道路は美しく、両サイドから受ける至近距離からの声援はランナーの心により強く響きます。それが『特別な舞台』をより一層際立たせるのです。この道路の入り口に入った時、筆者の隣をペアで走っていたランナーは一緒に走っていたお仲間に「やばい、これ超感動する」と、言っていました。筆者自身も心の中で同じように呟いていました。

本当に新コースはランナーにとって負担が減ったのか?

『トップランナー』と『初心者』に分けて比較してみます。

まずはトップランナーの負担についてです。
今回の優勝記録は男女共に大会新記録でした。男子は1分44秒、女子も1分40秒更新しています。

男子

今回の優勝タイム2時間03分58秒ウィルソン・キプサング
それまでの大会記録2時間05分42秒ディクソン・チュンバ 2014

女子

今回の優勝タイム2時間19分47秒サラ・チュプチルチル
それまでの大会記録2時間21分27秒ヘラー・キプロプ 2016

男女共大会新記録という事は、負担が減り記録を狙えるコースになったと言えるでしょう。

次に初心者ランナーの負担についてです。

今回の全体の完走率は96.0%でした。最も高かった完走率は2008年の97.4%で、2015年が96.4%、2016年が95.9%と、完走率には影響がありませんでした。

「完走が目標」のランナーにとってはトップランナーほどの負担減にはなっていなかったようです。

フィニッシュ後、荷物受け取りまでが大変

今回、メダルやタオル、ドリンクなどをもらう場所では通路の幅が狭い事もあり、フィニッシュしてくるランナーの数にスタッフの対応が追い付けず、なかなか前に進めない状況でした。ビッグサイトがゴールの時はもっとスムーズに、メダルや手荷物を受け取る事ができたので、来年以降のフィニッシュ直後のオペレーションについて再検討する必要がありそうです。

そして、多くのランナーの手荷物受け取り場所はフィニッシュ地点から約2km先の日比谷公園となりました(筆者も日比谷公園でした)。つまり、42.195km走った後、約2kmを歩くのです。これは長い。今回は雨は降らなかったが、降っていたらどうなっていたことか……。

公園に着くと、入口付近で多くのランナー達が地面に座り込んで着替えたり、帰る準備をしていました。「ここは通り道です。更衣スペースは奥にありますのでそちらをご利用ください」と、運営スタッフがアナウンスを繰り返していましたが、42.195kmのrun+2kmのwalk? で、疲れ切ってるランナー達はスタッフのアナウンスが聞こえているのかいないのか、そのまま身支度を進めていました。「やっと座れたんだからこのままでいさせてくれ」と言わんばかりに……。

公園の中には『足湯』が用意されており、運営スタッフが繰り返し「今なら待ち時間なくすぐご利用いただけます」 と声を張り上げていました。あまり利用者がいなかったのでしょうか。ランナーは「とにかく早く帰路につきたい」と……。

さらに、駅のある地下道までは公園を出てすぐ着くのですが、各ランナーの使用路線によっては地下道をかなりの距離歩く事になりました。都心の土地勘、というか電車事情に詳しい人であれば、ランナーが皆もらっている、『東京メトロ24時間乗車証(24時間フリーパス)』を利用して、遠回りしても各路線を乗り継いで体に負担のかからない手段で帰宅する事も可能だったと思いますが、土地勘の無い人はただひたすら地下道にある案内看板を頼りに歩くしかありません。筆者は日比谷公園を出て、約1km歩いてやっと使用路線の駅に着きました。

『ゴールがビッグサイト』を経験している筆者は、どうしてもそれと比べてしまいます。
東京マラソンをよりよいものにするべく、来年に向けての改善するべき所は改善する必要があるようです。
改善点を下記の通りまとめてみました。

・記念品を渡す通路の幅をもっと広く

・手荷物受取所や更衣スペースまでの雨対策

・日比谷公園入口から更衣スペースまでのルートのローピング(座り込みを回避)

・スタッフの帰路案内力の充実。もしくはランナーに配る資料により詳しい交通案内記載

荷物の受け取りは大変でしたが、総合的にはコースが変わった事のポイントアップの分の方が大きく、東京マラソンの魅力は増したといえるでしょう。

来年はどんな『東京マラソン2018 ~ROAD TO TOKYO 2020~』になるのでしょうか。