NIKE Breaking2 マラソン・サブ2出るか?!(2)伝統と科学の融合

伝統的なマラソントレーニングと科学的な取り組みについて

マラソンを2時間切って走るという野心的な挑戦 NIKE Breaking2

マラソン2時間の壁を破るためには、これまで最速のマラソン記録である2時間02分57秒よりも3%早く走る必要があります。

このサブ2レースの挑戦に向け、ナイキからの呼びかけに答えたのは、エリウド・キプチョゲ、レリサ・デシサとゼルセナイ・タデッセ

今回の挑戦において、Breaking2チームは、彼らの長年の経験や技術の積み重ねが大きな武器になっており、日々のトレーニングや補給の戦略を大きく変えるのではなく最適化することが、最適のアプローチだと考えました。

「エリートアスリートである彼らには、すでに優れたトレーニングプログラムが確立されています。私たちは、アスリートとそのコーチと協力して、分析結果やフィードバックを提供することです。
チームは、何ヶ月ものテストやデータ分析を繰り返し、挑戦に耐える身体に仕上がっていると判断しています。」

とナイキスポーツ研究所のブラット・ウィルキンズ博士は述べています。

ランニングが全て

彼らはウエイトをあげたり、ヨガをやったりはしません。ただ走るだけです。
「早く走るためには、走らなくてはいけない。」とウィルキンズは話します。
各アスリートのトレーニングプログラムは常に進化し、非効率を抑えるため調整を続けています。

「一般的にここまでのレベルのランナーはそれほど柔軟性はありません。一般的に思われているのとは違って、研究によると、柔軟性が低いほうがパフォーマンスの高さにつながる傾向がある。足が硬いほうがエネルギーロスが少ないという理論です。」

とウィルキンズは述べます。(彼はそれを、柔らかいバネよりも多くのエネルギーを蓄えて放つ硬いバネに例えます。)

三人三様の調整

「キプチョゲの1週間のプランは多様かつ具体的。1日2回、ロングラン、トラックでのスピード練習を毎週こなします。キプチョゲは自分の身体をとてもよく分かっており、自分の反応や主観的な運動強度でペースを調整します。

一方デシサが最初にフォーカスしていたのは、全般的な持久力で、そのためにたくさんの長距離走で、軽めから中程度の基本的なランを多く行いました。
プログラム後半になると、スピードと強度を高めるためにトラックでのワークアウトを増やすようにしました。

タデッセは、レリサの逆を行くもので、トレーニング前半には、スピード重視でレースのペースに身体を慣らし、後半にはスピードの持続時間を長く保ち、持久力をつけて、早いペースで長時間走り続けられるようにしてきました。」

とナイキスポーツ研究所のブレット・カービー博士は話しています。

科学が伝統を進化させる

このプロジェクトの使命を受けてから、ウィルキンズとカービーは何度となくランナーを訪ね、VO2max (最大酸素摂取量)、ランニング中に失われる水分量、筋肉で蓄えられるエネルギー量など、様々な分析を行ってきました。トレーニングの時、アスリートはGPS機能のついた腕時計と心拍計を装着します。コーチと科学者たちはデータを分析し、アスリートのパフォーマンスや進捗を確認します。集めた情報をもとに、コーチと科学者が相談の上、常にトレーニングプランを改良し続けています。

レース中の栄養補給は個別かつ精密

科学者たちは、汗による水分損失を補うことと、エネルギーレベルを最大化させることにフォーカスしています。このため、彼らはレース48時間前と、きついトレーニング後の24時間の2つの時間帯と、補給のタイプとその運搬方法、個別のニーズの2つの分野にフォーカスを絞っています。「トレーニングプログラムを通じて集めてきたデータをもとに、彼らがランニングでどの程度の水分を失うか、彼らの胃がどの程度吸収できるかを理解し、各アスリートのために特製の炭水化物のミックスを作っています。」とカービーは話します。それ以外にも、一人一人異なるタイプや量の炭水化物、水分、味付けが設定されています。

補給の頻度も綿密に

各アスリートに関するデータの分析と、多くの試行錯誤の結果、Breaking2チームはレース中のランナーの理想的な補給時間を決定しました。それは、2.4km毎というものです(彼らが走ることになっている、イタリアモンツァ郊外にあるオートドローモ・ナツィオナレー・モンツァのトラック1周は2.4km)。

「つまりアスリートは7分ごとに特製ミックスを飲んで、水分とエネルギーを維持するのです。これはアスリートにとっては全く新しいことです。というのもこれまでそれぞれのランナーは1時間に摂取する炭水化物量は60gに満たない量だったので、レースを走っているペースのままでより多くの炭水化物を摂取することに慣れなくてはいけなかったのです。」

とカービー。

未開の境地に至る可能性

「私たちはこのプロジェクトが始まってからデータを集めてきました。そしてアスリートからもまだたくさんのことを学び続けており、それらによって、レース当日を最高の状態で迎えられることになるのでしょう。ほとんどのランナーは、このようなレベルの個別対応や、テスト、コーチングなどを経験することはないでしょう。これらに、アスリートのメンタルの強さを加えれば、未開の境地に至る可能性が生まれます。」

とウィルキンズは述べています。

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