ランナーと糖質制限について

糖質制限による減量はもともと糖尿病患者向けに提案された考え方なので、日常的に運動しているランナーへの有効性には疑問があります。
むしろ日常的に走っているランナーは、積極的に糖質を摂取したほうがいいでしょう。

炭水化物を全く取らないなどの極端な制限は、パワーが出なくなるため肝心のトレーニングに力が入らず、心肺機能や脚力の向上を妨げてしまいます。

大会前にもう少しだけ減量したいという人は、基本的に、摂取カロリーを消費カロリーよりも低く抑えることです。いつもの食事の量を少し減らすか、トレーニング強度を少し上げる、例えば最後にダッシュを入れるだけで効果が期待できます。

糖質をとるタイミング

レース前に限らず、練習後は糖質を積極的に摂取しましょう。筋肉の回復にはたんぱく質だけでなく糖質も必要です。糖質が充分でないと、筋肉を良い状態に保てず、練習による筋力向上の効果が落ちてしまいます。

カーボローディングや脂質代謝の向上には効果あるが、、

練習を長時間行い、筋力が蓄えているグリコーゲン量を減らしてから糖質を摂取することで、筋グリコーゲンの貯蔵量を増やすことを「カーボローディング」といいます。
これは失敗例も多く、糖質不足や過度な追い込みで疲労した筋肉の回復ができず、レースのパフォーマンスが落ちてしまうことがあります。

ただ、筋グリコーゲンの貯蔵量が十分でない状態で走ることで、グリコーゲンよりも脂質をエネルギーとして利用しやすいように、体を適応させるトレーニングもありますが、計画的に制限しないと、これも筋肉の回復ができず、故障の原因やトレーニング自体の効果が落ちる可能性があるので、一般の方にはおすすめできないトレーニングです。

快適なランニング生活を続けるために

世間で騒がれている糖質制限は、ランナー向けの話ではなく、運動していない人たち向けの話です。
人の話よりも自分の体の声を聞き、疲労していないか、痛くないか、その原因はなぜか、何が欲しいかを考えるようにしましょう。
プロレベルのアスリートでもない限り、食事は制限せずに、しっかり食べて、しっかり走るランニングサイクルを継続していくほうが、長きにわたって健康な体を維持できると思います。

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