2008年の北京五輪400メートルリレーで第3走を走り、日本の(※1)銅メダル獲得に貢献した富士通所属の高平慎士選手(32)が今夏限りでの引退を発表しました。
北京五輪400メートルリレー
短距離選手では珍しいストライド走法の持ち主でコーナリングに定評がある高平選手とはどのような戦績を残してきた選手なのでしょうか。その足跡をたどりたいと思います。
(※1)北京五輪400メートルリレー優勝のジャマイカ第1走者ネスタ・カーター選手がドーピング再検査の結果、陽性反応を示し、ジャマイカの金メダル剥奪が2017年1月25日に発表され、日本は2位(銀メダル)に繰り上がる。
オリンピック3大会連続『200メートル』『4×100メートルリレー』ダブル出場
北海道旭川市出身で小学4年生から陸上競技を始め、旭川大学高等学校3年生の時、高校総体200メートル、国体400メートルで優勝しています。
高校卒業後は順天堂大学に進学。そして、2004年日本選手権200メートルで20秒59をマークし優勝。アテネ五輪への切符を獲得します。アテネでは個人の200メートルでは1次予選敗退となったもの、第3走者で出場した4×100メートルリレーでは4位入賞に貢献しました。
北京でも200メートルと4×100メートルリレー(第3走)で出場しました。ここでアテネ以上の成績を残します。先に述べたようにリレーでは銅メダル(後に銀メダル)を獲得し、個人の200メートルでは1次予選を突破し2次予選に進みました(2次予選敗退)。北京翌年のアジア大会では200メートルで自己記録なる20秒22をマークしました。
ロンドン五輪でも200メートルと4×100メートルリレーにダブル出場し、3大会連続のダブル出場となりました。200メートルでは2次予選を突破し準決勝へ進みました(準決勝敗退)。リレーでは5位(後に2着のアメリカが失格になり日本が4位に繰り上がり)となり、惜しくも2大会連続のメダルとはなりませんでしたが、3大会連続入賞を果たしています。
4大会連続オリンピック出場ならず
2016年6月にリオ五輪の代表選考会を兼ねた日本選手権が開催され、200メートル予選にエントリーしましたが6位となり、4大会連続のオリンピック出場、とはなりませんでした。世代交代を認めざる負えない結果をつきつけられた形になりましたが、この時はまだ『引退』を名言していませんでした。
承知の通り、リオ五輪の4×100メートルリレーで日本は銀メダルを獲得しました。しかし、いきなりポンッとメダルを獲得できるわけではありません。3大会連続入賞の流れを受け継いだからこそのものです。
高平選手はチームとして参加した訳ではありませんが、あの『感動の銀メダル獲得』の礎を築いた選手の一人と言えるのではないでしょうか。
富士通陸上部のスタッフ紹介ページの『好きな食べ物』の欄には『ラーメン』とあります(さすが北海道出身(笑))。体のデキの微細な部分がタイムに直接影響する陸上選手は、食べたい時に食べたいものをいつでも食べられるわけではないと思います。引退後は好きなラーメンの食べ歩きでも楽しんでもらいたいものですね。