「飲めば良い」というものではない。給水所での初心者ランナーの注意点

4月16日にあった長野マラソン、かすみがうらマラソンでは夏日のような暑さとなり、例年よりも低い完走率となっています。

この時期、不安定な天候から気温が急激に上下することがあり、一方で体はまだ暑さに適応できないため、大会コンディションによって注意が必要です。
また、暑いからと水分をガブガブ補給すると危険な場合もあります。

より良いパフォーマンスの為の給水

給水に関してはどのレベルのランナーも色々な策を練っているのではないでしょうか。マラソンには『飲料の内容』『飲料の量』『摂取のタイミング』など様々な要素がパフォーマンスに影響すると言われています。又、自身の給水だけでなく周囲への配慮、マナーも重要です。

脱水症状対策

脱水症状とは一般的に体重の2~3%の水分が失われた状態を言います。脱水症状になると疲労感の増加やパフォーマンスの低下、筋痙攣が起こると言わており、最悪の場合命に関わる重篤な状態になってしまう事もあります。

脱水症状にならない為には適切な水分補給が重要です。長時間の運動には電解質を含む飲料が良いとされています。一般的なスポーツドリンクは発汗で失われた水分とともに糖質と電解質を摂取し、それらが体に素早く吸収され筋肉に燃料を提供できるので効果的です。

量は、気候や、その人の体の大きさや記録によって異なります。その為時期によって各々が自身の適切な水分補給量を把握しておくことは有益です。その方法は下記の式を参考にしてみて下さい。

発汗量=練習前体重-練習後体重+飲水量
※ランニング学会参照
http://www.e-running.net/files/130114position_stand.pdf

個人差はありますが、暑い時期には10~15分に100ml程度、1時間走った時には500ml程度の量を目安に補給するよう心がけましょう。

練習後に体重が減っていれば、速やかに減少分の70-80%を水分で補うようにしましょう。

4月は気温が急に上昇する季節になります。より一層、脱水症状回避の為の水分補給を意識しましょう。

水分過剰摂取による『水中毒』にも注意

水分補給の重要性だけでなく、水分の摂りすぎによる弊害についても理解しておく必要があります。

汗から失われた電解質が補われないままの『過剰な水分補給』は『電解質異常』の原因になることがあります。
その時まれに発生するのが『水中毒』です。

『水中毒』は、血中ナトリウム濃度が大幅に低下し、不安感、めまい、頭痛などの「虚脱」症状から、さらには低ナトリウム血症や痙攣が生じ、命の危険が出てくることもあります。
症状が脱水症状に似ているので勘違いを招きやすく、水をあらたに飲んで症状を悪化させることがあります。

例え脱水症状になったとしても一度に大量の水分を補給することは避け、ナトリウムなどmp電解質を含んだ飲料をこまめに補給するようにしましょう。

又、この『水中毒』はトップランナーにはほとんどみられません。初心者ランナーほど起こる危険性があります。それはトップランナーほど汗をかかないにも関わらず、水分補給の重要性を意識しすぎて水分を摂取し過ぎてしまうことが原因として挙げられるようです。

通常、水中毒の予防として、体を動かす機会が多い人や肥満体型の人は1日2リットル、そうでない人は1.5リットルが適量と、水分摂取量を多くし過ぎないように注意するのが予防に効果的とされています。
しかし、マラソン大会など発汗量が多い場合は、この数字にとらわれず、気温や個人差にもよりますが1時間に400-800mlの水分補給を続ける必要があります。この時、水だけでなく、いっしょに塩や電解質も補給することが大切です。

ナトリウム摂取の目安としては、水1Lにつき食塩2gを摂取していればナトリウムの損失を補えると言われています。

市販のスポーツドリンクに含まれているナトリウム量をみると、アクエリアス500mlには200mg、ポカリスエット500mlには245mg、経口補水液OS-1 500mlには575mgしか入っていないため、これらを飲んでいてもナトリウムが足りません。これを補うために、塩飴や塩サプリ等を携帯し意識して摂取するようにすれば、低ナトリウム血症予防だけでなく後半のバテや足つりなどを予防する事ができます。

また、暑い日に走っていて体調に変化を感じたら、無理をせずに中止する意識も持ち合わせておくようにしましょう。

ゴミはゴミ箱へ

給水所でのドリンクは紙コップに入れられています。そして、給食のバナナは皮がついた状態で用意されています。それら紙コップやバナナの皮は必ずゴミ箱に捨てましょう。

当たり前の事ですが、残念なことに大規模マラソン大会では紙コップやゴミが散乱している光景をよく見かけます。

ランナーが踏んでしまうと、転倒による怪我や足首の捻挫などの原因に繋がってしまいますし、折角の景色や大会印象が汚いものになってしまいます。

落ちているゴミはスタッフやボランティアが拾い集めますが、この労力はつまるところ大会参加費に繋がっています。

安心安全で人にも環境にも優しいマラソン大会にするべく参加者自身の心がけも重要です。

後方ランナーへの気遣い

マラソンも後半になると次第に脚が前に進まなくなってきます。給水所で「一息ついてスポーツドリンクを味わおう」と、完全に立ち止まっていては後方から来るランナーの迷惑です。

上級者のように走りながら飲むのは難しいので、せめて歩きながら飲むようにしましょう。立ち止まらず歩いた方が自身のタイムの短縮にも繋がります。

マラソンでは給水は重要です。タイムも重要です。しかし1秒を削り出そうとガムシャラに行動するのは自身にも周りにも良い結果をもたらしません。

せめて笑顔で走れる程度の余裕を持って大会に臨みたいものです。