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スパルタスロンはウルトラマラソンの最高峰
スパルタスロンは、ランナーであれば誰もがどこかで耳にしている大会です。世界中に数あるウルトラマラソンの中でも最高峰といわれています。
アテネからスパスタまでの246kmを36時間以内に走るのですが、環境は厳しく、気温差が大きいときで最低5度から最高40度になることもあります。また、大変乾燥しているため多くのランナーが熱中症や脱水症状に苦しみます。完走率は高いときで60%弱、例年45%程度で、最低は23%です。
世界中から強いランナーが参加しているにもかかわらず、この完走率は大会の厳しさを物語っています。世界でもっとも厳しいウルトラマラソンの一つと言えるでしょう。
スパルタスロンは、1982年にプレ大会が行われ、翌年から毎年開催され今年で34回目です。過去には30回大会で終了になるとの噂があり、エントリー開始とともに申込が殺到するということがありましたが、最近は落ち着き、定員いっぱいになるまで若干時間に余裕が出ています。
大会要項
開催日 | 2016年9月30日(金)~10月1日(土) |
距離 | 245.3km 9月30日AM7:00スタート |
制限時間 | 36時間 |
エントリー期間 | 先着順2016年1月15日(金)正午~2月19日(金) |
定員 | 日本人枠60名 |
参加料金 | 520ユーロ(参加費、宿泊費、食事、レース中の輸送、公式セレモニーの参加費を含む) |
関門 | 6ヶ所のセントラルステーションと75ヶ所のCP |
エントリー方法 | インターネットとメールによる書類送付 |
大会サイト | 日本語http://www.r-wellness.com/spartathlon/outline.html 本家http://www.spartathlon.gr/ |
参加資格
18歳以上で、2014年から2016年に行われたレースで下記のいずれかを満たしていればエントリー可能です
- 100kmレースにおいて、10時間(男性)または10時間30分(女性)で完走している
- 12時間レースにおいて、120km(男性)または110km(女性)を記録している
- 100マイルレースにおいて、22時間30分(男性)または24時間(女性)で完走している
- 24時間レースにおいて、180㎞(男性)または170km(女性)を記録している
- 200km~220kmのノンストップレースにおいて、29時間(男性)または30時間(女性)で完走している
- 36時間以内で「さくら道国際ネイチャーラン250km」を完走している
- 42時間(男性)または43時間(女性)で山口100萩往還250kmを完走している
※この他にも参加資格が得られる条件や大会があります。詳細は大会サイトにて確認してください。
関門と制限時間
※下記以外にもCP75箇所での制限時間があります
区間 | Cp number | 距離 | 関門 | 次のcpまで | 最大時間 |
---|---|---|---|---|---|
アテネ – コリント | 0-22 | 81km | 金曜の16:30 | 81km | 9時間半 |
コリント – ネメア | 22-35 | 124km | 金曜の23:00 | 43km | 6時間半 |
ネメア – リルキア | 35-43 | 148.4km | 土曜の03:30 | 24.5km | 4時間 |
リルキア – ネスタニ | 43-52 | 172km | 土曜の07:30 | 23.5km | 4時間半 |
ネスタニ – テゲア | 52-60 | 195km | 土曜の11:00 | 23km | 3時間半 |
テゲア – スパルタ | 60-75 | 245.3km | 土曜の19:00 | 50.3km | 8時間 |
コースについて
前半はエーゲ海沿いの緩やかな勾配を進みますが、後半は150km地点にある1100mのサンガス山をはじめとした厳しい勾配のコースとなっています。サンガス山は舗装されていないトレイル道です。またコース全体に日陰が少なく日差しは強烈です。アスファルトはそこそこ手入れされているので走りにくいことはありませんが、照り返しがキツく暑さが増します。
エイドステーション
75箇所のCPがエイドステーションになっています。区間は3〜5km毎になり、水やスポーツドリンクの他にフードやフルーツが用意されています。
また、全てのCPに荷物をデポできるようになっていますが、預けたものが見つからないということもあります(汗)
大会記録とYiannis Kourosについて
スパルタスロンで日本人が優勝したのは過去3回あります。関家さんが2回(2002,2009)、大滝さんが1回(2000)です。
女子の日本人優勝は、過去8回あります。また、2000年と2009年には男女で日本人が優勝しており、日本人のウルトラの強さを世界にアピールしました。
大会ベストは1984年にギリシャのYiannis Kouros(当時28歳)が記録した20:25:00です。彼はこれまでスパルタスロンで4回勝っており、20時間を2回、21時間を2回と歴代4位までの記録を保持しています。
また、当時の大会は今ほどエイドもなく内容も乏しかったそうで、荷物を背負って走っていたそうです。(現在ほとんどのランナーは空身で走っています。)20時間の記録は今後、誰にも破れないと言われています。
他にもYiannisは、世界記録を20以上も保持しています。100マイル11時間46分、12時間走162km、24時間走290km(Road)303km(Track)、などなど、詳しくは彼のHPで確認ください。
http://www.yianniskouros.gr/index.php/en/kourosvictories
今年で60歳になるヒゲが似合うスーパーマリオみたいな色黒のおじさんですが、本当にスーパーなランナーです。
スパルタスロン攻略
とにかく暑さ対策です。かなり強いランナーでも暑さが苦手な方はリタイヤしています。
また、ギリシャは乾燥しているので、湿度が高い日本の暑さとは異なりカラッとしています。日本の暑さには強かったけれどもギリシャで脱水になってしまう人もいます。汗をかかないのに大量の汗が蒸発して気がつくと塩で白くなります。塩分の補給が水の補給と同じくらい重要です。
トレーニングは、夏の河川敷を厚着して数時間走るなど、ちょっと過激なくらいのトレーニングがいいかもしれません。距離を積んでおくことも重要ですが、暑さに強くなるトレーニングを積んでおかないと簡単には完走できません。
日本人とドイツ人
スパルタスロンの一大勢力は日本人とドイツ人で、2国の参加者を合わせると全体の5割以上になります。以前は日本人の完走率が高く圧倒的に強かったのですが、最近はドイツに押され気味です。
宿泊は国ごとにホテルが割り振られるので、まわりは日本人だらけで、どこか熱海にでも合宿に来たような感じになります。わからないことは、周りに聞けば聞いていないことまで親切に教えてくれるので、心配することはありません。国内遠征にでかけるのりで参加できるのがスパルタスロンです。日本人に飽きたら、外人に話しかけてみましょう。だいたい5割の確率でドイツ人だったりします。
その他、ギリシャには野良犬が多い
村上春樹さんのギリシャ滞在記の中でジョギング中に犬に追いかけられた話があります。本に紹介されているように、ギリシャには野良犬、野良ネコが沢山います。パルテノン神殿にも居ます。犬は人と走るのが大好きなので、スパルタスロン大会の時に野良犬と並走することがあります。ほとんどの犬は大人しいのですが、時々噛まれたり、犬に突進されて転ぶような人もいるので注意が必要です。
スパルタスロンに行くなら読んでおきたい本
ヘロドトス『歴史』
ヘロドトスの『歴史』には、フィリッピデスという伝令が、マラソンの戦いの直前に、アテネから2日間で走ってスパルタに援軍を要請したという話があります。
これがスパルタスロンの起源になっています。同時に、マラトンの戦いでの勝利をアテネに伝令したことがマラソンの起源になっていますが、これはヘロドトスの話には出てきません。
ちなみに、岩波文庫のヘロドトス「歴史」は上中下があり、スパルタスロンのエピソードは中に載っています。
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村上春樹「遠い太鼓」
村上春樹さんのイタリア、ギリシャでの生活を綴ったエッセイです。少し前の本ですが、ギリシャの今が大まかに把握できる本です。
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