2016年3月にオープンした川口のランニングショップ「RUNARX RUNNING COMPANY」(ルナークス・ランニング・カンパニー 以下ルナークスRC)。
「RUNARX(ルナークス)」とは、RUN(ランニング)、ARC(架け橋)、X(可能性)をミックスさせた造語。ランニングを架け橋として一つ先の自分に出会ってほしい、またその架け橋的な存在になりたいという意味だそうだ。
JR川口駅から徒歩5分のところにある店舗へ行ってきました。
オーナー佐藤英人代表
自らもアスリートである佐藤さん。チームSALOMONに所属していることからトレイルランナーと思われがちだが、トライアスロン、ロードバイク&MTB、フルマラソン、アドベンチャーレース、エクステラ、トレッキングなどオンロード、オフロードのランニングに限らずエンデュランス系スポーツに広く取り組み、バイクやアウトドアアクティビティについて造詣も深い。
高校時代から10kmなどの長距離競技に取り組み、大学で黎明期のトライアスロンに出会う。同時にロードバイク競技にも取り組み、年間学生ポイントランキングで1位になったこともあるという。
その後、トレイルランニング、アドベンチャーレース、エクステラと幅広く取り組んできたが、最近はトレイルランニングの割合が多くなってきているとの事。
ハセツネ(日本山岳耐久レース)には5回ほど参加しており、終電で帰宅するほどの実力者。
今後もいずれかの競技に専念することなくエクストリームスポーツやアウトドアアクティビティに広くチャレンジしていきたいそうだ。
また、佐藤さんは7月と9月に北海道で開催されるオフロードトライアスロンとトレイルランレースXTERRAジャパンのオーガナイザーでもある。
– XTERRA(エクステラ)日本事務局もされていますね。
XTERRAには個人的に以前から取り組んできました。たまたま機会があって今年から日本事務局をやっています。XTERRAは今年で20周年です。日本にもファンが各地に根付いてきました。
オフロードトライアスロンというと過酷な印象が強いのですが、自然との関わりや、開催地元との関わりなどXTERRA独自の世界観があります。それを継承して伝えていきたいですね。
開催地選考や調整など大変なことも多いのですが、大会全体を通して参加者や関わっている人が良い時間を過ごせるようにしたいですね。
ショップについて
店頭商品はシューズが6割、その他ウェアやサプリメントなどが4割。SALOMONのイメージからトレラン中心と思ってたらロードがメイン。シューズにいたってはトレラン用は無い。
佐藤さん云く、ブランドのメジャーマイナーの印象を取り払い、ランニングしやすいシューズをチョイスしているとの事。確かに大手ランニングショップでも見かけないシューズもある。また、シンプルハイドレーション・ボトルやネイキド・ランニング・バンドなど海外のユニークなアイテムがあり、普通のランニングショップでは無いことがわかる。
– TEAM SALOMONメンバーであり、山の経験が豊富な佐藤さんが、なぜトレイルランではなくロードランのショップを出されたのですか?
最近はトレイルランやファストパッキングの小規模でアツい専門店が増えていますが、ロードランニングは大手量販店が中心というのが現状だと思います。そこで、わかりやすく正確にランニングシューズやフィッティングをアドバイスする、さらにはランニングカルチャーを語る、発信する専門店があってもいいのでは?とここ数年感じていたのが出店のきっかけです。
– どうして都内ではなく川口で開店されたのですか?
私自身が生まれも育ちも埼玉県川口市なんです。今までの経験を地元で役立てられるのであれば、ちょっとした地域貢献になるかと思い迷うことなくこの地に出しました。それから、店から1km程度で荒川サイクリングロードというランニングには良い環境も大きな要因でした。
– どのようなショップにしたいですか?
欧米には地元に根付いたランニングショップがあり、そんな地元のランナーに愛され、LOVE LOCALを打ち出したランニングショップにしたいと思います。また真剣にタイムアップを目指す方と楽しく健康的な身体作りを目指す方のそれぞれにバランスよい店作りにしたいです。
シューズのフィッティングについて
シューズを足長サイズのみで選ぶと、足幅、甲、踵が合わないケースがよくある。あるブランドではコンピューターで足を3D計測し、データベースからシューズをピックアップするが、結局はそのブランドのラインナップの中だけであり、ランナーの使用用途と合わないこともある。
佐藤さんは大手ランニングショップでの勤務経験に加え、シューズ好きが高じてオーダーシューズとインソールの勉強をされていたこともあり、ランナーの足と使い方に最適なシューズを数足選び出してフィッティングさせている。
– 全シューズのドロップ数が(シューボードの黒板に)記載されてますね?
シューズ重量はもちろんですが、つま先と踵のソールの厚さと高低差(ドロップ)を計測するためにオリジナルで計測機具を製作し、カタログ表示に頼らず全て計測しています。
シューズ選びについては、まずお客様がどんなランニングシューズを探しているのかを伺った上で、両足の足長を計測しながら足の特長を見て、その時点である程度シューズのアイテムを絞り込みます。そして実際に履いてもらい歩いたり小走りしてもらい、違和感があるかどうかを伺います。また場合によって、フィッティングを上げるために調整を行うこともあります。
– 子供シューズの取り扱いもされているのですね。
ルナークスRCでは大人だけではなく子供のシューズも扱っています。子供にとってシューズは「学習と成長をさせる必要な道具」ですので、大人同様に真剣に厳選しています。一般的にはすぐに大きくなるから大きめのサイズを履かせたり、デザインや好みで選んだりしますが、できたら子供靴は大切な成長道具として考え、その時に合ったサイズのシューズを履かせてほしいと思います。
しかしどんなシューズを選べばいいのか、足のサイズがわからないお父さんお母さんがほとんどだと思いますので、買う買わないは別にしてまずはお子様の足の計測だけでも来てもらいたいと思います。
イベントについて
– ルナークスRCでは毎日グループランを開催されていますね。参加するにはどうすればいいのでしょうか?
休日以外は基本的に毎日20時からグループランニングとウォーキング&ジョグを交互に開催しています。近所の夜間でもそれほど暗くない場所を1時間ほど走ります。参加者は主に会社帰りや地元の方ですね。参加費無料で、どなたでも参加いただけますので、お気軽にお立ち寄りください。シャワールームもあります。
– その他にも、試し履き会やロゲイベントなどたくさんですね!
僕は走ること自体が楽しい遊びだと思っています。走る+サムシング+川口で面白そうなイベントは何でもやっています。川口のスイーツ店舗をめぐるイベントや近くの銭湯(喜楽湯)をランステ利用するゆるゆる系のイベント、トラック(青木町総合運動場)を利用してインターバル練習を行うガチ系まで幅広い内容です。基本的にはどちらも走ることが「遊び」という感覚を大事にして欲しいですね。
他にも、トレイルイベントや合宿なども計画していますが、色々やりすぎててどこまで実現できるかわかりませんね(笑)。
所 感
佐藤さんほど走りに関して守備範囲が広い人も珍しい。ロードやトレイルの実績や学びからくる知識の他に、オリエンテーリング、トライアスロンやバイクの知識も応用されているので引き出しの多さに驚きます。
さらに、スイーツランナーからシリアスランナーまで色々な人に対応できる人柄。長い時間、和かに対応いただき、ついつい話し込んでしまいました。。
街にルナークスRCのようなランニングショップがあると近所のランナーは嬉しいですね。居心地よくて用もないのに入り浸ってしまう姿が想像できます。
単なる大会やシューズなどの販売だけでなく、走りについての考え方や、取り組み方、マナーなど、ランニングカルチャーが共有されていくコミュニティとして、今後もこのようなスタイルの店舗が各地に沢山増えていくといいなと思いました。
ショップデータ
ランニング・スペシャリティショップ RUNARX RUNNING COMPANY ルナークス・ランニング・カンパニー
営業時間 AM11:00~PM20:00
定休日 月曜日
住所 〒332-0016 埼玉県川口市幸町3-9-26