第20CP福井京都境18時09分通過
交通量が多いので少し離れたところからの写真 pic.twitter.com/jEwTxqVt9K— こさひ (@kosahinn) 2016年5月18日
食事について
5月20日(16日目)の食事・摂取カロリー記録(数字はkcal)
朝食
ファミマトマトソースパスタ420
野菜とチキンのトルティーヤ196
ラン中
焼きシャケおにぎり221
ローソンオールドファッション448
ファミチキ242
おにぎり鯖180くらい?
パワージェル梅120
夕食(丸亀)
かけうどん大445
かしわ天156
アスパラ天180くらい?
飲料
リプトンミルクティー
缶コーヒー
コカコーラ社缶アイスカフェオレ
いろはすピーチ
グリコフルーツオレ
冷凍アクエリアス
ソルティライチ
いろはすみかん
計大体2,608kcal(飲料の分は含んでいません)
成人男性の平均的な1日の摂取カロリーは約2000kcal。毎日70kmを走っていることを考えると、カロリーをほとんど消費せずに走っていることになるのでしょうか(金沢に着いた時点で「体重はスタート時と変化なし」と言っていました)。
記録を狙う
過去の選手の完走記をいろいろ読んで、たまたま参考にしたのが、過去最速記録の人のもので、新潟でだいたい同じくらいで、その後福井くらいで、記録を意識しだした。後半は記録を狙うのもあり、休憩を減らした。
その影響もあってかマメは増えた。親指、小指以外にも、踵部分にもできて痛かった。ただ走り出すと痛みは大丈夫になる。
(ゴール後インタビューより抜粋)
あと無事に鳥取まで来たので明日から記録も狙っていきます
実は福井、敦賀の辺りから意識していましたが…
— こさひ (@kosahinn) 2016年5月20日
縦断部門の最速記録は513時間52分(21日間+9時間52分)です。2008年完走の当時60歳の方の記録です
— こさひ (@kosahinn) 2016年5月20日
そのため5/26の14時52分を切って下関駅に着けば記録更新となりますが、どうせならいま出せる最速タイムを目指して504時間(21日間)切りを目指していきます。
— こさひ (@kosahinn) 2016年5月20日
フットレースは福井県あたりから勾配が多くなるため後半のほうが厳しく、兵庫県養父市から下関駅までの516kmでは獲得高度は4,181m(全体の約45%)になります。
気温も徐々に高くなり平均気温が20℃を超えてくるとペースが遅くなりがちですが、今さんのログを見ると後半も速度が落ちていません。
ついに距離表示看板に下関の文字が! pic.twitter.com/XCF5RTru1D
— こさひ (@kosahinn) 2016年5月22日
ラストスパート
最終日は記録を意識しスピードを上げたそうだ。(記録更新の)日程通りに進むことができ、ゴールが近づくにつれて安堵したと言う。
5月23日(19日目)なぜか今日はやたらと調子がよかったです。足はマメがいつも通りあるのと、走り終えると右のアキレス腱の辺りが少し痛むようになりました。寝て起きると治っているのでたぶん大丈夫です
5月24日(20日目) 江津市0時発の予定が、二度寝によりスタートが2時間遅れた。益田市に12:30着、睡眠を取り、17:40にリスタート。予定より40分遅れに。オールナイトランで、明日(25日)午前11時に山口市着の予定。
ここにきて初めて転んでしまい、膝から少しだけ出血したので治療していたら地元の方に話しかけられた
治療しながら話しているとその方が昔ランニングをしていて萩往還で2回優勝したことがある人だと判明
転んだことですごい人と出会ってしまった— こさひ (@kosahinn) 2016年5月22日
きたー pic.twitter.com/8Sf9NPvZ2P
— こさひ (@kosahinn) 2016年5月25日
ゴール直後インタビュー
5月25日23時11分に下関駅へゴール。記録は498時間11分(20日間と18時間11分)。これまでの最速記録を約15時間更新する快挙でした。
以下、円井基史さんのインタビュー(2016年5月26日facebook投稿)
Q:おめでとう! お疲れ様! いま、どんな感じ?
A:今夜の宿をどうしようか考えている。5km先のネットカフェに走って行く予定だったが、最後10kmラストスパートして、脚を使ってしまい、ネットカフェまで行ける気がしない。
Q:ゴールして、率直な気持ちは?
A:なんだか、達成感がない。泣いたりするかと思っていたが。今夜寝て、明日もまた60km走りそうな感じ。ゴールした実感がない。
Q:最後の2-3日、睡眠時間を削ってレースを進めた。大丈夫だった?
A:2-3日と短かったから、睡眠時間が2-3時間でも持った。これを1週間とかは続けられない。
Q:昨夜から今朝にかけてのナイトラン93kmはきつかったのでは?
A:きつかった。10時間くらい雨に当たり続け、風も強かった。途中心が折れて、雨の当たらない場所で30分くらい体育座りしていた。長岡でも雨の中を走って、止まったら体が動かなくなるのは知っていたけど。止まると寒かった。ゴアテックスの中は湿っている感じ。昨日の夜、初めて職務質問された。夜中、雨の中、歩いていて怪しかったからか。
Q:金沢で会ったとき、とても余裕そうだった。その後、最後まで余裕だった?
A:毎日だいたい同じ感じだった。「疲れた~」というときはあったが、体が動かない、という日はなかった。
Q:幻覚や幻聴は?
A:なかった。
Q:振り返って、どこが一番きつかった?
A:どうしても最近のイメージが強い。昨日のナイトランがきつかった。それ以外でも雨の日がつらかった。あと、スタートして3日目、前日に100km走った翌日もつらかった。
Q:振り返って、楽しかった?
A:う~ん。つらいと思うことの方が多かった。
Q:ウルトラマラソンと比べてどう?
A:う~ん。長い下りが楽しいのは共通している。
Q:金沢以降、福井で仙波さん、鳥取で僕の父、叔父、芦崎の応援は知っているけど、それ以外の応援はあった?
A:どこかのファミリーマートで店員さんに応援されたくらい。養父の宿の人にも応援された。島根県でこけたとき、萩往還で2回優勝した人(60歳くらい?)に声掛けられたり、下関から青森までリアカーを引いて歩く人と話したりはあった。
Q:下関駅(ゴール)で出迎えてくれた人は?
A:いない。
Q:金沢以降で、併走してくれた人は?
A:いない。
Q:応援メッセージを書いてもらう用のTシャツ、メッセージは増えた?
A:増えていない。芦崎や仙波さんに書いてもらおうと思ったけど、別れてから思い出す感じ。
Q:僕は正直、今君の準備・トレーニングでは30日間完走は厳しいと思っていた。それがまさか、過去最速記録とは。最初から行けると思っていた?
A:自分でも(最速記録は)びっくり。完走はぎりぎりできるかと。金沢までは這ってでも行こうと思っていた。過去の選手の完走記をいろいろ読んで、たまたま参考にしたのが、過去最速記録の人のもので、新潟でだいたい同じくらいで、その後福井くらいで、記録を意識しだした。
Q:今回の走りはベストな感じ? もっと速く行けそう?
A:現状ではベストだと思う。ただ、まだ速く行けるなあ、というところもある。
Q:ご両親、家族は何か言ってた?
A:両親は、最初から最後まで、体に気を付けてがんばって、と言っていた。姉には、足のマメや体の不調について相談し、助けてもらった。
Q:体の不調とは?
A:唇の端が切れて、リップクリームを塗っても治らない。あと舌にも異変が。姉からは、栄養不足やストレスだろうと言われた。アキレス腱も終盤痛んだ。
Q:金沢以降、足のマメは? 足のむくみとかは?
A:マメは増えた。親指、小指以外にも、踵部分にもできて痛かった。ただ走り出すと痛みは大丈夫になる。足のむくみは気にならなかった。今日の早朝や、最後の20km、つま先がしびれるような感覚があった。血がたまっているのかも。レース前半は2時間に1回は靴を脱いで足を休ませていた。後半は記録を狙うのもあり、休憩を減らした。その影響もあったかも。足がむくんで靴がきついとかは無かった。途中で買った2足目の靴のソールは、踵、つま先部分は(ソールがすり減って)真っ平。
Q:僕はこの1週間くらい風邪をひいて、走っていない。今君は睡眠時間も削って、栄養も不足がちだったと思うけど、風邪をひいたり、お腹を壊したり、体調不良はなかった?
A:水分を摂りすぎてお腹を下すことがあったが、正露丸を飲むとすぐに治った。他は特になかった。
Q:今回の好記録、成功の秘訣は? 何が良かった?
A:分からないが、強いて言うなら回復力? その日の疲れはその日のうちに取るようにした。前半はストレッチくらい。新潟くらいから、長い距離を走った日は、寝るときに湿布をはるようにした。富山以降は、風呂で脚に水をかけたり、水風呂に入ったり。最後の3-4日は睡眠時間が少なく、毎日湿布をはった。
Q:湿布はどこに?
A:冷感シップをふくらはぎと、ふともも裏表両方。たくさん買った。
Q:靴以外で、途中で買い足した・買い替えたものは?
A:パンツ2つ。足のマメのキズパワーパッドが靴下にくっついて靴下がダメになるので、靴下は2回くらい買い替えた。ザックカバーを途中どこかでなくして新調した。
Q:金沢以降、薬のビンや、ボディソープ、折り畳み傘など送り返したと言っていたが、それ以外の軽量化は?
A:携帯食糧をパワージェル1つ、カロリーメイト2袋に減らした。
Q:これがあって良かったというものは?
A:ヘッドライトは良かった、というか必須。トンネルの区間が多いから。大活躍だったのはキズパワーパッド。プロテクトS1・J1も良かったと思う。
Q:危ない目には遭った?
A:危ない目は何度も何度も遭った。トラックとのすれ違い。親不知、そして昨夜が一番怖かった。トンネルに限らず、歩道がない道路で。昼でも怖い。特に急カーブ。歩道がない道路では、車は歩行者がいると思っていない。
Q:一番楽しかったところは?
A:う~ん。金沢で、東茶屋街近くに入って、自分が知っている景色が現れたとき。
Q:レース期間中に食べた、美味しい食べ物ベスト3は?
A:ご当地の食べ物を食べる余裕はなく、コンビニのものが思い浮かぶ。
1)ローソンのイースタードーナツ:単純に味が好き。糖分摂取のため頻繁に食べた。
2)道の駅マンドリーム能生(糸魚川)のラーメン:久しぶりにラーメンを食べてすごく美味しかった。牛丼屋、コンビニ、スーパー以外の食事は恐らくここが唯一。
3)白バラコーヒー:中国地方のコンビニにあるコーヒー飲料。ローソンのイースタードーナツと一緒によく飲んだ。
Q:金沢のときも、長距離走るのに体が慣れたと言っていたけど、その後は?
A:前半は1日の走行距離が60kmだと、次の日に回復していたが、後半は70kmでも翌日問題なくなった。レース開始2日目に100km走ったが、昨夜93km走った後の方が余裕があった。
Q:本州最西端までの20kmランニング、明日行くの?
A:明日か明後日か迷っている。明日14時から下関駅で山口新聞の人と会うので、たぶん明後日に行く。明後日の夜の夜行バスで帰る。
Q:このチャレンジが終わって、まずやりたいことは?
A:家の布団でゆっくり寝たい。
Q:飲みたいものはある?
A:コーラ。何となく深く考えず、コーラを飲まないようにしていた。途中で飲んだのは、金沢で差し入れでもらった1本のみ。
Q:えっ。レッドブルは飲んでいたのに?
A:レッドブルは必要。レッドブルがなかったら こんなタイムは出せなかった。飲み過ぎると効果が薄れると思い、途中から控えていた。昨日から今日の48時間で、ボトル2本、缶3本を飲んだ。レッドブルを飲むと眠気がさめる。
Q:このチャレンジ、またしたい?
A:いまはいい。
Q:金沢でも質問したけど、このチャレンジの疲れは半年くらい残る? それとも2-3日で戻る?
A:1週間すれば治る。夜行バスで青森に着くころには、足のマメ以外は、だいたい疲れは取れていると思う。
Q:走りながら、今後の人生とか、何か考えた? 思うことはあった?
A:特にない(考えていない)。たいてい、頭の中で音楽が流れているか、昼飯はどうしようか、次のネットカフェはどうしようか、と考えていた。
Q:次に出たいレースは?
A:う~ん。イギリスのThe Dragon’s Back Race(Five Days of Welsh Mountain Running)、南極100kmマラソン、野辺山とか。四万十、サロマ湖など有名なウルトラにも出たい。
Q:いままで出たレースのベスト3は?
A:・伊豆大島ウルトラ(達成感)
・白山白川郷ウルトラ(初めて時間内完走)
・ハセツネ(楽しかった)
Q:正直今回の今君の走りはすごいと思う。もし自分が走っても、今君のタイムは出せない気がするし、完走もできないかも。
A:ウルトラマラソンを完走できる人なら、誰でもこのレースを完走できると思う。
Q:ゴール直後、疲れているところ、長時間ありがとう。ゆっくり休んで。おやすみ。
A:こちらこそ、ありがとうございました。
23時11分下関駅着 pic.twitter.com/uAwiWtDs3G
— こさひ (@kosahinn) 2016年5月25日
最後に
フットレースを走る前の今さん、ウルトラマラソンやジャーニーランの経験は浅いと言ってもいいでしょう。未熟だった彼が完走どころか大会新記録を更新できた要因は何だったのでしょうか?
結論から言うと、話を聞いても正直よくわかりませんでした。
経験が少ない分、気負いも無かったと本人は言っていましたが、プレッシャーや恐怖は少なからずあったはずです。今さんの落ち着いて振り返る語り口、凄いことをやってのけたと誇張もしない素振りを見ていると、もしかしたらフットレースは誰でも完走できる簡単なレースなのかと思えてきます。
超長距離走は、体力や走力の他にも判断力や忍耐力が必要とされるため、経験を積んだ年配者が優位と言われています。今さんの完走は、経験が少なくとも、状況判断が正しくできれば、驚くほどの距離を走れる事を実証しているのかもしれません。あるいは、今さんは超長距離走における優れた適応能力を予め備えていたランナーなのかもしれません。
無理な計画を立てておらず、その時々でベテランのように状況を俯瞰、判断し淡々と進んでいます。寝れば次の日は回復した。と言っているのように若さ所以の回復力もあるでしょう。雨が少なく気温もそれほど高くなかった天運も成功の理由と言えます。
しかし結局は走力、体力が決め手となることに疑う余地はなく、彼が幼少のころから取り組んでいた陸上競技により体ができていた、そして、諦めずに走り続ける情熱を持ち合わせていた、ということ以外に具体的な完走の秘訣は見当たりません。
今さんの記録した最年少最速記録、特に最年少記録は、今後当分破られないはずです。誰も迎える人のいない夜の下関駅に一人静かにゴールした今さん。一見寂しい印象かもしれませんが、誰にも褒められなくとも、彼は自分の記録に満足してその夜を過ごしたはずです。
今さんの記録と65歳最高齢で完走された大川さんの記録、ウルトラマラソンは奥深く息の長いスポーツであると感じる出来事でした。
今後もマラソンを続けたいと言う今さん。次のレースはスポーツエイドジャパンが主催、今さんの故郷青森で初開催される津軽みちのくジャーニーラン200km(7月17〜18日)、秋にはハセツネも走ります。
フルマラソンや100kmサブ10などにも興味はあるとのこと。どのような走りをするのか楽しみです。
無事本州最西端の毘沙ノ鼻に着きました! pic.twitter.com/EN71xx896K
— こさひ (@kosahinn) 2016年5月27日